流星ワゴン

92

不思議な作品だ。
幽霊が出てくるし、タイムマシンみたいなホンダのオデッセイが出てくるし、父と息子の物語だった。

3組の父と息子が出てくる。
1組目は、主人公と彼の息子。
会社をリストラされ、妻は無断外泊が多く、息子は中学受験に失敗して荒れて、家庭が崩壊しつつある。

2組目は、オデッセイを運転する父と息子。
父は5年前に家族でドライブ中に事故を起こして息子と共に即死。
オデッセイに乗って「死にたい」と思っている人の元に現れて、その人にとって人生の分岐となる時代と場所に連れて行くお節介な幽霊らしくない幽霊。
息子が成仏することを願っている。

3組目は、主人公と彼の父。
主人公は父を恐れ、嫌い、父の仕事も嫌っていて後を継がなかった。
父は短期で怒りっぽく、主人公を逃げた情けないやつと蔑む。
末期癌で余命いくばくかの昏睡状態。
主人公と同い年の姿で現れる。
オデッセイの親子幽霊の仲立ちで和解なるか。

主人公が人生に疲れ、何もかもが嫌になって「死んでもいいかも」と思った時にオデッセイが現れ、乗るように勧められる。
そこにいたのは5年前に事故死した親子。
1年ほど前の過去の主人公にとって人生の分岐点となる場所に連れて行かれる。
妻の不倫現場、息子の孤独(その裏にある受験のプレッシャーとイジメ)、そこに突然現れた自分と同じ歳の父との絡み。
過去をなぞるだけで未来を変えることのできないもどかしさや辛さが身に沁みる。
こんなのはヤダなぁ。
あの時には見えなかったものが今なら見える、気付くことができる。
それが分かって主人公は未来を変えるべく奮闘するのだが、現在に戻ってみると、全てが無駄に帰したことに落胆する。
だけど、今の時点からは未来を変えられるのだよ。
最後にちょっとだけ光が差した。
プチハッピーエンドぢゃね。


魔法のアイテム、それは黒ひげ危機一髪。(^^ゞ