シュガータイム

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一風変わった登場人物だ。
主人公の女性は大学生で、過食症とは違うようだが、乱食症と言うべきか、急に食欲が満たされない状態が続いていた。
で、一日の終わりに今日何を食べたのか記録する奇妙な日記を付け始める。

彼女には腹違いの弟がいる。
彼は背が伸びない病気にかかっていて、背丈は小学高学年の時のままで、大学に行かず神道宗教に入り修行することになった。

主人公の女性には彼氏がいた。
これまた奇妙な関係で、肉体的な結びつきがなかった。
二人揃ってカウンセリングを受ける羽目になったが、当事者にとっては大きなお世話だった。

二人は精神的に深く結びついていたが、ある日彼からの音信が途絶えた。
二人の甘い時間は終わったのだ。
彼から届いた手紙がそう語っていた。
哀しい終わり方。
裏切りに近い内容であったが、彼女は意外に淡々としていた。
だが、後からその悲しみは打ち寄せてきた。
まるで過去と決別するかのように、乱食していた食材を焼却処分し、あらためて必要な食材のみを買い、ディナーに弟を招いた。

恋と青春が終わりを告げた時、彼女の乱食もきっと終わるのだろう。

不思議になんか清らかな気分になる、この読後感は結構好きかも。