三千枚の金貨 上・下

138、139

主人公の斉木光生は病院で老人から三千枚の金貨の在り処を教えられた。
大きな桜の木の下に埋めてあると。
文房具を扱うマミヤの役員でもある主人公はマミヤ三銃士と言われる川岸知之、宇津木民平と、主人公が世話になった病院で看護師をしていて今は姉の遺志を継いでバー・MUROYのママをしている室井沙都の4人で三千枚の金貨の在り処を探る物語。
しかし、一攫千金のお話ではなく、それぞれの生い立ち、在り処を教えてくれた老人の壮大な人間物語なのであった。
そこにプラスして主人公が長期休暇で訪れたシルクロードの乾河道の枯れ干した大河の跡の揺るぎない悠久の佇まいが重ねられる。
目を瞑れば、その情景が浮かび上がってくる。
いい作品だ。
やがてお宝の在り処を探り当ててしまう。
4人の共同出資で桜の木のある土地と家を買い取り、20年後に掘り出すと決めたくだりのこの記述がいいね。

「待ちつづけて二十年ののちに得るものは、三千枚の金貨よりも大切な何かであるような気がした。 二十年待てた、ということの凄さが、自分を大きくさせる・・・・・・。」

う〜ん、深いぜ。(^^ゞ