オレンジの壺 上・下

73、74

現在、父が祖父から引き継いだ事業は順調に伸びている。
末娘の佐和子は結婚して1年足らずで破局を迎え、女性としての魅力はないとの捨て台詞を残された傷心が癒えない25歳の平凡な女。
父から2000万円の小切手を手渡され、何か事業を興せと言われる。
やがて佐和子は、祖父が遺した一冊の日記を思い出す。
日記を受け取りに軽井沢の別荘へ。
手に入れた日記を読み進めていくと、祖父の渡欧の目的、ジャムや紅茶、スコッチウィスキーの独占輸入権の商談、仏人女性とのロマンス、その女性との間に子が出来たことなど、驚くべき内容が記されていた。
何のために祖父はこれを私に託したのか。
フランスの女性や女性の母親とのやり取りした手紙も残されていたが、仏語だったため仏語の出来る男に翻訳を頼んだ。
それらの手紙で父の異母姉ともいうべき子は死産で、女性も同時に亡くなっていたと分かった。
が、祖父はそれを信用せず子は生きていると探し出すよう部下に命じていた。
佐和子も子が生きていると思い、祖父が遺した日記の意味、日記に度々出てくる「オレンジの壺」の意味を求めて、軽井沢からフランスへ、そしてエジプトと、祖父の1920年代、第一次世界大戦第二次世界大戦との狭間の激動のヨーロッパを舞台にした壮大なスケールを、祖父の足跡をなぞるようにたどって行く。
すごい、完全に引き込まれました。
面白くて続けて下巻へ。
さらなる驚きとの遭遇。。。。
裏日記?との出会い、それの解析、驚愕の事実。
憎しみと裏切り、戦争へ突き進む祖国に対する複雑な心境。
二人の女性に対する苦悩、二重スパイ??。
すべてが終わった時、佐和子は魅力的な女性に成長していた。
一緒に渡仏した男を虜にして。
いやぁ、見事なミステリーですね。
Amazonではミステリーのカテゴリーに入ってなさげですが、立派にミステリーですよ。
でも、すべての謎が解けたわけではないので、ミステリーとはやはり違うか。
それでもいいと思う。(^^ゞ