猫と妻と暮らす

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時代は明治ぐらいか?
憑き物を落として祓う、それを生業とする一族「蘆野原」。
その長と呼ばれた主人公が恩師の娘を嫁に貰った。
その嫁が、ある日帰宅してみると猫になっていた。
なんとも奇妙なお話だ。
この変わり種夫婦と主人公の幼馴染であるこれまた特殊能力を持つ友とで街に巣食う闇、厄災に立ち向かう。
奇天烈な話ではあるが、美しい嫁が猫に変化して「にゃあ」と鳴く様が可愛いし、どことなく叙情的な感じが、古き良き時代を思わせて好きだなぁ。
猫に変化している間の記憶がないという設定もいいんでない?
文明開化が進むにつれて、郷(さと)の存在が薄れて、壊されていくことを防ぐために閉じる。
いつの日か解き放たれるその日まで。
そういう日がまた来ればいいのにと私は思う。
闇が闇として存在し、自然を畏れ敬い、八百万の神々を祀った遠い昔のことを思う。