マリアビートル

161

何となく読み進めていくうちに、どこかで読んだことあるような気がして、「押し屋」と出てきた辺りで確信。
でも作品名は思い出せない。(^^;
読み終えたあと、巻末を見たらそこに載っていた。
グラスホッパー」の宣伝。
思い出しました。
変な殺人者がいっぱい出てくるやつ。
これの続編ぢゃないけど関連話。
本作でも殺人がいっぱい。
話は、優秀だが変に大人びて人をコントロールして支配下におき、窮地に追い詰めてその反応を楽しむ残酷冷徹で狡猾な中学生男子の「王子」と、そいつに恨みを持ちながらも支配下におかれている元殺し屋の「木村」と、天道虫、檸檬、蜜柑、蜂等々の怪しくて変で個性的な裏仕事引き受け人たちが東北新幹線の同じ列車に乗り合わせて、一つのトランクを巡る争奪戦が繰り広げられる。
その間に幾人かの殺人が "軽く" 行われる。
ミソは、全てが自分の思い通りに動き、運を見方につけた中学生の王子と、何をやっても運の悪い天道虫と呼ばれるうだつの上がらない男。
天道虫は首の骨を瞬時に折って即死させる得意技を持っている裏家業人である。
その対比が面白く、王子に反感を覚える。
別に天道虫だって殺人者なのだから褒められたもんぢゃないのだけれど、頑張れと、王子なんかに負けるなと応援している自分がいる。(^^ゞ
 世の中そんなにうまくはいかないよと。
結局、終点までに何人死んだのやら。
それでいて、あまり血生臭くなくて、かえって無気味。
王子の顛末は、やはりつけが回ってハッピーエンドではなかったようですね。
世渡り上図もほどほどに。(^^;
一番運に見放されたと思しき天道虫が実質の勝者?
でもないんだけどね。
生きて自由になる体があるだけマシってなもんだ。

ちなみに「マリアビートル」って、天道虫のことらしい。
ってことは、主人公は天道虫の「七尾」?
なかなかのエンターテイメントぶりな作品でした。