もう君を探さない

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ちょっと重めですが、結構好きですね。
死者の呪縛から、教師の呪縛から自分を解き放つ物語でした。

主人公は私立女子高の教師。
教え子が家出をした。
そしてかつて家庭教師をしていた時の、今はヤクザの教え子が殺された。
前後して、殺されたヤクザが経営していた店の店長(家出をした教え子の彼氏)が失踪していた。
関係があるのかないのか、ヤクザよりも早く教え子を探さないと彼女の命が危ない。
何のために教師をし続けているのか?
何のために命を張ってまで教え子を守ろうとしているのか?
全ては7年前に帰結する。
担任ではなかったが、顧問をしていたクラブの子の自殺を止められなかったこと。
毎年命日になると彼女が首を吊った木を探し続けた。
結果は毎年同じで見つけられなかった。
目印にバツ印をつけていたのに。
悔恨、もう二度と深く生徒と関わろうとしないはずだったのに、彼を突き動かしていたもの、後悔、二度と死なせてなるものかという信念。
家出の教え子は見つかった。
ヤクザを手に掛けた奴も分かった。
そして事件は解決した。
もうあの木は探さない、君のことは忘れない、いい思い出だけを残して、そして教師もやめる、そう決心して物語りは終わった。
何とも言えない余韻を残して。