ニサッタ、ニサッタ

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ニサッタ・・・アイヌ語で「明日」という意味。
北海道から夢を抱いてといよりは東京へ行きさえすれば今よりもっといい暮らしができる、そう漠然と大都会へやってきた青年の挫折につぐ挫折の典型的な「負け組」(私の大嫌いな言葉の一つ)の青年が「明日」という希望をもう一度取り戻す物語でした。
性根を叩きなおしてやりたい、読んでてイライラする主人公。
勤めていた会社が夜逃げ同然に倒産し、派遣に登録して働くも長続きせず、パチンコで儲けた金も女に持ち逃げされ、サラ金に手を出して借金を背負い込むといったどうしようもない展開。
自分勝手で反省するどころか手人のせいにして現実を直視できないヤツ。
いるいる、そういったヤツ。
イライラ度158%!(笑)
東京に馴染まないまま生まれ故郷に帰って出直すも酒気帯びで自損事故を起こして大怪我で入院。
せっかくスーパーの正社員に登用されようかという念願の夢もパー。
自ら起こしたことだから誰のせいにもできるわけもなく投げやりで八つ当たりでどうしようもない状態。
人は時として分かっていながらも堕ちるところまで堕ちてしまう。
堕ちた人を救うシステムがないこの日本での再浮上は並大抵でない。
そういった社会システムに警鐘を鳴らす作品でした。
最後にポッチャリおデブちゃんの女の子に心救われ、立ち直る青年。
今日一日だけを考えて生きよう、そして明日になったらまたその日を考えて生きていく。
明日があるぅ〜さ明日があるぅ〜♪
夢も希望も見つけられた青年は、今度こそ再起できそう、そんなハッピーエンドでした。