悪意

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う〜ん、こんなに悪意に満ちた主人公は私は知らない。
作中にも出てくるが、いじめの理由をいじめる者に尋ねると「いじめたいからいじめただけ」という意味みたいな回答をよこしていた、それと全く同じ感じ。
自分の過去の恥ずべき行為を隠し通すために善人なるものを陥れて悪者に仕立て上げていく、それも彼を殺した後に。
綿密に計画を立てて、殺人の動機を作ってから殺人を犯すという極めて奇怪なやり方で。
見事に世間を騙し、警察をも騙して主人公の思惑通りにことが進むと思われたのだが、そこに立ちはだかったのが「加賀恭一郎」。
そう、東野作品には欠かせない名刑事の原点がここにあった。
加賀は昔中学教諭であって、同じ中学の教諭だった主人公の後輩だったのだ。
こんな作品の中で出会うなんて奇遇だね。(笑)
2年で教諭を辞めたのだが、辞めた理由が加賀らしい。
いいものを読ませていただきました。
この作中でもねちっこく犯人の真の動機を探り当てる名推理ぶりがわくわくさせます。(^^ゞ