拒絶空港

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土曜に借りたのに一気に読んでしまった。(^^;
現役機長が書いた作品です。

離陸時にタイヤバーストを起こしたボーイング747-400。
そのとき機長らは気づいていなかったが、離陸した空港(シャルル・ド・ゴール空港)から滑走路にタイヤやホイールの破片が散乱していると所属航空会社の出先整備責任者から成田の整備担当者に連絡が入った。
最初はそんなに重大なこととは思われなかったのだが、実はもう1本バーストしていた。
さすがに2本失っていると、その時のバーストの衝撃で脚そのものにダメージを被っている可能性があるだけでなく、脚の格納時に配線やパイプ類を破損させている可能性や、再び脚を出した時に破損する可能性が出てきて、あーだこーだと地上組があたふたと。
そうこうしているうちに別のとんでもない情報が入ってくる。
シャルル・ド・ゴール空港の一部が閉鎖されたと。
その原因が核物質テロではないかと物々しい体制がひかれる中、実はその核物質があのタイヤバーストを2本ひき起こしたボーイング747-400にあることが・・・・

さぁ、日本政府を巻き込んですったもんだが始まる。
タイヤバーストだけなら目的地の成田でなんとかなると思われたのだが、核物質、それもプルトニウムであることが分かったことから日本領土上空を通過することままならぬとのお達しで当該機は奥尻島付近で待機。
機長ら乗務員たちは旅客250数名と搭乗員を含めて260名以上もの人名を優先させんと孤軍奮闘するも、地上組のホワイトカラー達は個人の昇進や訴訟問題、責任回避のための組織保身に走り出し、航空機の旅客搭乗員の人名を省みない。
国は国で、勝手な行動(領土上空への侵入、特に原子力施設近辺に近づくこと)をしたら撃ち落すとばかりに自衛隊の戦闘機2機を派遣させて当該機をマークして国を、国民を守るためという御旗を掲げてこれまた旅客搭乗員の人名を省みない。
もちろんプルトニウムを積んでいて、安全に着陸できる保証のない(タイヤがバーストしてるから)航空機を受け入れてくれる空港が1つもない状態に。
最悪の事態(着陸に失敗して爆発炎上、そしてプルトニウムの飛散)ばかりを論戦、今刻々と減っていく燃料を気にしながら国の誠意ある回答、すなわち最善をつくした人名最優先の論議は何処へ・・・・
そして当該機の、260名以上もの人名の行方は・・・・
作品の出来としては中の上ってところか。(^^ゞ
それよりも、本当にこういう事態になったときに絵空事ではなくて、作品に書かれたとおりのことになるんとちゃうやろうかと大いに心配になるわ。
今の政府にリスクマネジメントを期待するのは酷やし。(激苦笑)