うそつき、うそつき
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読了。 第5回アガサ・クリスティー賞受賞作。 究極の管理社会の悲劇を描いた哀しい物語だ。 首輪型嘘発見器を付けることを義務付けた近未来社会が舞台。 この機械がとんでもない。 本当のことをしゃべると青くランプが光り、嘘をしゃべると赤く光る。 常に本音が相手に伝わるわけだ。 で、週に一回バッテリーを交換しなければならず、その時に記録された会話履歴が回収される。 危険人物は排除される。 無理に外そうとしたり、壊そうとすると、首に巻かれているワイヤーが巻き取られ、首が絞まって窒息するか切断されて死に至る。 で、主人公の少年は非合法にその首輪型嘘発見器を取り除くことを生業としている。 いろいろな人の首輪を外す過程で、失敗して死に至らせたり、あえて放置してこれまた死に至らせたり、なかなか無慈悲で容赦無い。 かなり怖い。 16歳の時の主人公と18歳の時の主人公のお話が交互に展開され、連作短編を思わせる。 成長してるんだか、してないんだか、悲しいかな主人公は世間知らずで学が無いから同じ過ちを繰り返す。 ラストに向かって何が真実で何が嘘なのか分からなくなっていく様は読んでて辛いわ。 こんな社会はまっぴら御免だけど、為政者は都合よく国民を縛りたがるもの。 手遅れにならないよう気を付けないとあかんで。 |