悪医

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これは両者、医者と患者の、両方にとって辛い、永遠のテーマとも思える「命」に対する本音、思い、現実、希望、諦め、悟り等、答えのないお話です。
患者にとって良い医者とは?
医者が言う良い医者とは?
視点を変えれば180度違う。
健常者の私から見れば冷静に判断できるとは思いつつ、現実の身となっては果たして・・・

ある末期癌の患者が若い主治医から治る見込みがないので残りの時間を有意義に過ごすよう勧められるが、言われた本人は「もう死ねということか!」と曲解してしまう。< ここで拗れた関係が最後まで尾を引く。
患者はセカンドオピニオンを受けたり、金儲け&論文ネタ収集を主眼にした分かりやすい悪徳医者に騙されたり、効果のない医療を受けてどんどん悪化していく。
最後はホスピスに世話になるのだが、どこまでも素直に現実を受けいることが出来ずに周りを引き込んで人間関係を怪しくしていく。
その心の葛藤を、人間の「どんなことをしても生きたい」という性が読むものに「自分はどうだろうか」という問いを突きつけられる。
う〜ん、難しい!

話は患者からの視点と、医者からの視点とを交互に語るイメージで進む。
患者に良かれと思って勧めたことが、患者の激怒を買ってしまい、そのことに対するわだかまりが彼から消えない。
告知のやりかた、どうにもならないことをどう理解してもらえらえるのか思い悩む様が出てくる。
外科医としては優秀であるが、患者の立場に立つことが難しい。
現役医者が描く人間模様なだけにリアリティを感じさせる展開となった。

愉快になるお話ではもちろんありませんが、年始にあたって自分を見つめ直すには良い作品だったかなぁっと。(^^ゞ