ゼツメツ少年

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ゼツメツ少年、何だろう?と思った。

中学2年のタケシ、小学5年のリュウとジュンの生き延びるための長い旅が始まる。
学校で、家で 、自分のいるべき場所を失くしてさまよう。
「僕たちはゼツメツしてしまいます」と彼らは言う。
生きるためにセンセイの小説の中に隠して欲しいと長い手紙を小説家に送る。
小説家は作中作家として友人だった一人の男をセンセイ役に抜擢し、彼の娘も登場させた。
彼らが手紙に託したものをセンセイが小説化していく。
どこまでが現実で、どこから小説の中での事なのか判然としなくなる不思議な作品。
なかなかお目にかかれない手法だ。
残念ながら彼ら3人は、河川事故で亡くなったらしい。
センセイは彼らが確かに生きた証を記した。
最後にセンセイとその娘に捧げる鎮魂歌でもあった。

生き続けることの意義を考えさせられ、結末にちょっと悲しい気持ちになった。