ジェノサイド

35

ジェノサイド、一つの人種・民族・国家・宗教などの特定の集団にに対する抹消行為をさす、だと。
この作品に出てくる特定の集団とは、集団とはいってもささやかな数ではあるが、ある種人智を超えた神の存在に近い進化した「人」であった。
人類20万年の間、ほとんど変わることのない殺戮や戦争、それへの警鐘を鳴らすものだった。
作品に出てくるアメリカ大統領のモデルは子ブッシュ
無いものを有るとしてイラクを崩壊させた張本人。
核のボタンを握る最高の権力者であり、拝金主義者であり、臆病者。
そんな彼が怯えた相手がアフリカで発見された新人類。
普通のピグミー種族の夫婦の子として生まれた奇妙な赤ん坊。
前頭葉が発達して盛り上がている、つまりデコが出ていて頭が大きい、吊り目がちな大きな目。
常人の知識をはるかに凌駕する頭脳を持つ。
臆病者の大統領が下した命令は彼を抹殺せよ、と。
大統領が擁した4人の特殊部隊に思惑を伏せたままアフリカ奥地に向かわせた。
新人類の運命は?

それとは別に、急死し父親から送られてきた一通のメールを受けた息子が父の遺志を継ぎ、私設実験室で致死率の高い難病の創薬に取り掛かる。
謎のコンピューターと創薬を担う謎のソフト、そしてなぜか公安から追われる身に。
特殊部隊による新人類暗殺と大学院生の難病創薬という二つの話が重なった時、物語はすべて筋書き通りに進んでいった。
まさに神業。
突然変異にもほどがあるでしょうに。(^^;

新人類は冷ややかに現人類の愚行を見ていた。
彼が日本に来た時に、大学院生が言ったこの言葉に疑念を抱く。
「もう安心だよ。ここには戦争はないからね。この国の人たちは、もう戦争をしないと決めたんだ」
今の日本を見せたら、よりいっそう虚しく響いたことだろう。
一国を統べたる者、奢ることなかれ。
この国をどこに導こうとしているのだ、クソったれ!
おっと、脱線。(^^;
いろいろ考えさせられた作品でした。