神様のカルテ

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何となく、返却ラックにあったコレを手に取った。
結構名の知れた本である。
著者の夏川草介は現役医師である。
彼の経験と思いがこの作品に込められているのだろう。
地方医療の現場の大変さ、難しさが描かれている。
が、固苦しさはなく楽しめる内容である。

主人公の栗原一止は、地方の一般病院としては大きな本庄病院に勤務する5年目の内科医。
病院は大きいが万年人手不足はこの病院も例外ではない。
彼もやはり徹夜続きの激務に励んでいる。
大学病院の医局に入らず、自ら地方病院に下野した変わり者で、夏目漱石を耽溺する文学莫迦でもあった。
が、実に可愛らしい、しかし行動力のあるカメラマンでもある細君と暮らしているのが実に似合わなく羨ましい。(笑)
彼の医療に対する一途な思い、葛藤が本作から読み取れる。
大学病院の医局入りを勧められるも、大学病院で診てもらえない末期患者と向き合うことを選択した彼は、逆に患者から教えられることの方が多いと気付く。
同僚や看護師、救急救命士、患者から絶大な信頼を得ている愛すべき変人医師。
神の手なる手腕は持ち得ていないが、患者の立場に立った医療は決して劣っていない。
こういう医師が多く存在することを願って止まない。

続編の2やら3もあるようだが、機会があれば借りることとしよう。(^^ゞ