路(ルウ)

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日台欧合同プロジェクト。
台湾に欧州連合が線路を敷き、日本が新幹線を走らせる、台湾新幹線が開業するまでの事業を通して、台湾人と日本人の出会いと再開、そしてこれからの「路」を示す物語。
事実を元に、フィクションを綺麗に紡いで織り込んで完成させた長編大作。
いい作品でした。

戦前、戦中に共に過ごした台湾人と台湾生まれの日本人の真の友情、贖罪のための再開、そして学生旅行で訪れた台湾で出会った青年との奇跡の再会といった人の繋がりに重きを置いたストーリーがいいね。
日台の文化・習慣の違いを乗り越えて、新たな道を路を歩んでいく
台湾人が日本を見つめる目と、日本人が台湾を見つめる目の温度差が胸に痛いのだが。

主人公の春香が日本の彼、繁之との間の温度差が開いて行く様もなんとも・・・
繁之が春香に言った「これからはいい友達でいようなんてカッコつけたことは言わない。でも、これからお互いにお互いの道を精一杯進んで、またいつかどこかで大切な友達よして再開できたらって思っている」が、しっくり「路(ルウ)」につながった。

台湾人青年と春香の関係が微妙な状態ではあったが、なんとなく未来を予感させる形で物語は終わった。