月の上の観覧車

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ちょっと寂しい、哀しい物語が8編。
短編集である。
だが、いずれもラストにほのかな幸福感とか光明が差すとかの展望が開けた形で終わっているので、暗いながらも前向きになれるかな、と。(^^ゞ

気に入った作品は、最後に載っている表題作の「月の上の観覧車」ですね。
人生最後を締めくくるべく、今は亡き人達に逢うために一人観覧車に乗る。
過去の清算?悔恨?懺悔?
正常な心理状態でない時だけに、それも月が出ている夜だけに出会うことができる不思議な空間。
母に、父に、息子に、妻に。
幼少期の恐怖心から、壮年期の酩酊状態から、そして今は。。。末期ガンの痛みを抑えるためのモルヒネをいつもより多めに服用して。
哀しくも美しい最期(まだ死んでないけど)だなぁと思いましたよ。