冬のはなびら

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ひたむきに、誠実に、正直に、ありのままの今を生きる。
そんな短編が6編。
それぞれの作品の中で、主人公たちが精一杯生きていく情景がありありと目に浮かぶ。
いい作品でした。
その中でも表題作の「冬のはなびら」いいですね。
無二の親友の志を継いで、小さな離島の教会を再建する。
親友の両親と久しぶりに再開する予定だったが、会えたのは奥さん一人。
奥さんの手には白い椿。
全てを悟った彼の心中を思うと胸が痛いが、やり切った充足感は親友と、その父に捧げるに値するものだったろう。