走るジイサン

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若くして亡くならなければ、誰しもが通る道。
それが「老い」。
デビュー作でいきなりネガティブなテーマだが、題名が脱力を誘い、相殺か?(^^;
この作品で男性の老人が出てくる。
妻を亡くし、息子夫婦と同居して 単調な毎日を送っていたが、息子の嫁さんに「女」を感じてしまう。
それと時を同じくして自分の頭の上に猿が居座るのを見つける。
他人には見えないようで、気が触れたのか、痴呆症の始まりなのか、なんの象徴かも分からない。
分からないが、見えるのだからその事実を受け入れる。
自分の息子嫁に対する欲情、近所の喫茶店の娘が恋した相手への嫉妬、老いて汚くなっていく自分の将来に対する悲観など、色々なややこしいことに辟易し、頭上の猿は何も考えなくてもいいから羨ましいと、筋違いの感情をさらけ出す。
老いの哀しみと滑稽さを描いた作品でした。

猿の国に行ったのだろうか。。。