つむじダブル

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いやぁ、いい作品でした。
小路幸也さんと宮下奈都さんの二人が交互に描く家族の抱える秘密の物語。
色んな愛がギッシリ詰まっていて、共作だなんて違和感なく読めましたよ。
小路さんが、兄で高校2年でバンドやっててメインボーカルな男子のパートを、宮下さんが、妹で小学4年で柔道やってて元気いっぱいの女子のパートを書いてます。
兄妹の共通項は頭のつむじが2つあること。
だから「つむじダブル」。
「つむじダブルは幸運の証」、果たして二人は、家族は幸運だったか。
少なくとも素晴らしい父と出会った母は幸運の持ち主だろう。
母もつむじダブル。
母あてにかかってきた謎の電話の相手の女性、母の昔からの友人だった女性、兄のバンドをスカウトした事務所の男性、この3人と母との秘密の関係。
兄は気付いてしまった。
母の秘密。
それは自分の出生の秘密でもある。
それでも揺るがない家族の関係が眩しい。
でも、小説だから。
現実的に立場を自分に置き換えて見て、高2でここまで冷静でいられるのか疑問。
いいお話、こうあって欲しいと思う理想型ではあったけどね。