ナモナキラクエン

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あぁ、「楽園」の意味が最後に分かった。
重いなぁ、重いよ。
確かに伏線はあった。
そういうことだったのだ。
この4人兄妹は、実在すれば世界一の兄妹だ。
ま、裏を返せば「あり得ない」と思ってしまう。
それでもいい青春家族小説だったよ。

4人兄妹のうち、長兄が一人の時に「楽園の話を、聞いてくれないか」と言いかけて、父が亡くなった。
山(サン…長男 大学2年)、紫(ユカリ…長女 高校2年)、水(スイ…次男 中学3年)、明(メイ 次女 小学4年)とふざけたような名を付けられた兄妹には、遺言というべき一通の手紙が残された。
驚くことに4人とも母親が違うという異母兄妹だった。
で、父はそれぞれの母親に必要なら会って来いと。
ちょうど夏休みだったので、老いぼれモーリス・マイナー・トラベラーを駆って母親に会いに行く。
そして長兄だけが知ってしまったそれぞれの出生の秘密。

人生の転機になるような夏の出来事だった。