夢ほりびと

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バブルが弾けて自己破産し、豪邸も競売にかけられたが売れぬまま朽ち果てて行く屋敷に舞い戻ってきた老人は既に惚けている。
その老人から屋敷の庭に埋めたお宝の話を聞き及んで一緒に住み込む夫婦、警察官を退官して屋敷の屋上に設置されている大型双眼鏡で下町を覗き見る男、米国のサーフィンの大会で優勝したものの国内では勝てないビッグウェーブを待っているサーファー、学校でいじめられてリストカットに走っていた女子高生、リストラされたことを家族には言えずに逃げ出してきた40代の男、そんな訳ありの人々が屋敷に集まって庭をスコップで掘り返す。
お宝なんて出なくてもいい。
無心になって土と戯れる。
嫌なこと、哀しいことが、スーッと消えていく。
お宝ではない、忘れかけていた夢を掘るのだ。
世間から見放された人達の再生の物語でした。

しかしまぁ、リストラされて家族から逃げた男の不甲斐なさ、煮え切れなさには、ほとほとイラついたわ。