かたみ歌

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7篇からなる連作短編集。
「アカシヤ商店街」がある不思議な街(それは懐かしい昭和の40年代の香りがプンプン)、そして不思議な出来事。
それはすべて「覚智寺」というお寺さんに通じている。
死者の住まう国と通じているのか?
死してなお家族を守ろうとする男の話、死神と対決して弟の災い全てを持ち去って消息を絶った兄の話、大戦で亡くなった男と栞を使った文通をした女の話、DV夫のしを受け入れられず幼子を道連れにした女の話、死んだ猫の魂「猫魂」と戯れた女の話、他人の死期が見える人の話、死んだ妻にお使いを頼まれたこの世ならざる幼子の話。
すべては最後の「枯葉の天使」で解き明かされる。
いや、実に素晴らしい構成だった。
哀しいけど懐かしい温もりを感じるいい作品でした。

「栞の恋」は、どこかで読んだことあるなぁと思ったけど、TVドラマで見たのだったか?
結構こういうの好きですね。