氷山の南

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冒険小説という位置付け。
主人公は交換留学としてニュージーランドの高校を出た後、現地でスキーのインストラクターや山岳ガイド等をやって食いつないでいた18歳の日本の青年。
南極大陸から分離した巨大氷山を特殊繊維でできた布でくるんで船でオーストラリアまで曳航し、水不足の内陸地に溶かして供給しようとする巨大プロジェクトを担った船に乗る。
乗ると言っても氷山見たさの好奇心、冒険心を奮い立たせての密航を企てた結果なんですけどね。
ま、予定通り途中で見つかったのだが、船内新聞の記者として、厨房の手伝いとして乗船を許される。
そこで知り合ったオキアミを研究している7歳上の中国系カナダ人と恋仲になる。
氷山上でのキャンプ、カヌーでの氷山巡り、飛行艇での謎の滑走路着陸、氷で出来た礼拝堂、氷崇拝者アイシストの首謀者との遭遇等々、それなりに「冒険」らしい体裁は整っている。
そしてオーストラリア先住民アボリジニの青年との交流を通しての自分のルーツ(主人公は半分アイヌの血が流れている)の再確認も盛り込まれている。
青年から大人の男として成長する様を描いた作品でもある。
が、ちょっと冒険小説としては正直物足りない。
ワクワク感がイマイチなのだ。
アイシストとの絡みも中途半端かな。
もっと生死を分けるような緊迫した事態が現れないと。(^^ゞ
2000円を超えるお値段もちょとね。
ま、借りて読んでる身ではなんだが。(^^;