背いて故郷

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日ソ漁業協定に伴う漁船監視船「第六協洋丸」の元船長が主人公。
彼は船が本来の監視作業とは違うソ連へのスパイ活動に嫌気をさし、友人にその座を譲る。
ところがその友人が殺される。
何か撮ってはいけないものをフィルムに収めてしまったからのようだ。
友人を死なせてしまった悔恨が彼を突き動かし、友人の死の謎を解き明かそうとひた走る。
北国の寒々とした風景を、友人の妻、友人の妹との複雑な関係を情緒的に描きながらもフィルムを巡る戦慄を覚えるような展開がゾクゾクさせます。
両「国家」の策略に翻弄される人々の細かい描写が少し間延びさせるが面白く読めました。
が・・・主人公自身も述べていましたが、彼が動かなければそれ以上の犠牲者は出なかったんだよ。
そういう意味では疫病神みたいな、お近づきになりたくない人物であった。(^^;