マルセル

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いや、これは極上のミステリー小説だ。
大人の恋愛小説の要素も入っていて、奥行き、深みがましている。
主人公は30半ばを過ぎた新聞記者の女性。
その父も新聞記者であったが、他界した。
その父が遺したマルセル盗難事件に関わる取材ノートとスクラップ。
その内容に疑問を持ち、父が何を思ってこれを遺したのか、その謎を追う。
その過程で出会った年下の画家の男との恋、死んだ母の謎、マルセルの盗難の不可解、父の奇行、全てが複雑に絡まって、ミステリー度がいやが上にも盛り上がる。
そして終章に向かって一気に全てが氷解。
非常に心地良い読了感。
実際に起きたマルセル盗難事件を、見事に極上のミステリーに仕上げていました。
素晴らしい長編小説です。
お勧め!