サヨナライツカ

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「サヨナライツカ」
婚約者が書いた一篇の詩。
その中に
「人間は死ぬとき、愛されたことを思い出すヒトと
愛したことを思い出すヒトとにわかれる」
とあった。
婚約者は後者であった。
婚約者を1人日本に置いて、男はタイで仕事に励む。
そこで出会った婚約者とは正反対の女と恋に落ちる。
女は「愛されたことを思い出すヒト」であった。
男の身勝手と女の我儘の果ては・・・
25年後、順調に出世した男はタイで女と再開する。
狂おしいほどに愛し合ったことを互いに思い出す。
女の本音を理解した男は、さらに4年の月日が経ったある日、女の死期が近いと知ると、三たびタイへ飛ぶ。
自分が本当に愛した女は誰だったのか。
取り返しのつかない30年という年月が悲しい。
「いつも人はサヨナラを用意して生きなければならない」
切ない気持ちにさせられた恋愛小説でしたね。
ってか、ズルくて最低な男やね。
自分に嘘ついて、妻と二人の息子を欺いて。
でも妻は気付いてたんだよ、きっと。
所詮、お釈迦様の手のひらの上で転がされていただけ。
哀れな男だ。

作品そのものよりも作中の「サヨナライツカ」の詩に感動したわ。(^^ゞ