Coffee Blues

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やはり彼の作品は、独特の時間の流れ方をしますね。
東京バンドワゴンに繋がる下町慕情がたまらなく好きです。
主人公は北千住の洋館をブルースを聴かせる珈琲館の主。
彼には結婚を約束した彼女を麻薬の売人に薬漬けにされて殺された悲しい過去があった。
その時に売人の容疑で誤認逮捕され、二重の苦しみを味わう。
でもその時の手錠を掛けた刑事が誤りに気付き、無罪放免となる。
それが縁で店の常連客となり、空き部屋を貸して一緒に住まう関係になる。
とある日、小学2年の女の子が、中学の姉を探して欲しいと頼まれる。
また、逮捕された麻薬の売人が刑期を終えて出所したという情報をもたらされる。
それらの問題が同時進行で、元同僚や、近所の若者や、店の常連や、刑事を巻き込んでハラハラドキドキ、でもどこか人も温もりが感じられる著者独特の文体で描かれていて、安心して読めてしまうんです。
私にはちょうど良い、お気楽ストーリーの一冊です。
仲間の人情って、いいよなぁ。
珈琲の薫り漂うソフトなハードボイルド(矛盾)でした。(^^ゞ