恋文の技術

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森見登美彦氏は、やはり変態である。
自分の作品に自分自身を登場させ、自分を変態扱いさせているので、自他とも認める変態ぶりである。
その変態ぶりは読んで理解してもらった方が話が早いので、ここでは割愛させていただく。(^^;
主人公は、「恋文代筆」のベンチャー企業を設立してボロ儲けを夢見る冴えない大学院生の男である。
恋文の技術向上のため、日夜せっせと手紙をしたためるのであったが、どこか間抜けで、お茶目で、支離滅裂な内容で笑える。
文章は、全てが手紙の内容になっていて、主人公が送ったものである。
相手の返信の内容を直接知ることはできないが、それに対する返信に一部書いてあるので、どういうやり取りをしているのかは分かる。
往復書簡的な作品は見受けられるが、このひたすら一方通行の形態は初めてで面白い。
文通相手の一人に森見登美彦氏がいて、主人公が恋文の技術伝授を彼に頼むのだが上手くはぐらかされるのが可笑しい。
いやはや何ともな作品でした。