ランドマーク

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関東平野のど真ん中に建築中の35階建スパイラル状のビル。
中央のみの心柱で支えられ、各階が少しずつ捻じれていて、微妙なバランスで成り立っている。
ここを舞台に二人の対象的な男を中心に話が展開していく。
方や九州の地方からやってきた未婚の青年で、肉体労働の鉄筋工である。
方や都会育ちの既婚の32歳で、頭脳労働の設計士である。
二人が直接関わることはないが、何となく二人とも危うい男だ。
鉄筋工の青年は、わざとイライラするために男性用貞操具を海外通販で購入して装着するし、32歳の設計士は愛人を作って家を顧みない。
そのくせ設計士は妻が実家に帰ると落ち着きがなくなるし、鉄筋工の青年は自分の存在意義を確かなものとするために突然女に結婚を迫る。
どちらも不安定な状態が微妙なバランスのもとに成り立つスパイラルビルとダブる。
設計士が気にした途中で設計変更した箇所の強度はどうなのか?
崩壊の恐怖へのカウントダウンが(そういえば、Number が10から1に向かってカウントダウンしてる)始まる。
男の内面の弱さ、脆さを描き出した作品でした。