平成猿蟹合戦図

132

なるほど、猿蟹合戦かぁ。
出だしを読んで、どうそこに導くのか結構ワクワクしながら読みました。
ま、こんなことはなかなか起こることではないけど、そこは物語っちゅうことで。
九州の離島から東京へやってきた子連れホステスと、その夫の冴えないイケメンホスト、そのダチの秋田出身のバーテン、バーテンが目撃した轢き逃げ死亡事故の真の加害者のチェロ奏者、そのチェロ奏者のマネージャーの女、チェロ奏者の身代わりに刑務所に入った実兄、その娘、その曾祖母、冴えないホストとバーテンの面倒を見る韓国クラブのママ、これらの人々の夢と希望をのせてバーテンが衆議院議員選挙に打って出る。
こちらは「蟹」。
小汚いことを裏でやらかしている大物政治家(こちらが「猿」)を敵に回して地元の若者と老人、そしてメディアを味方につけて闘う。
決して美しい闘いではなかったけど、読後の爽快感はなかなかのもの。
なにかこう国のあり様が、少しでも良い方向に変わっていけばいいなと思ったのでした。