真夏の方程式

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ガリレオ シリーズ最高の出来ではないだろうか。
加賀恭一郎シリーズ「麒麟の翼」では期待が大きかった分、少なからず落胆したものだが。
ぶっきらぼうで、取っ付き難く、偏屈とくれば最悪の人物像になるのだが、この湯川教授は憎めない得なキャラクターである。
コンビ?の草薙刑事とのやりとりも相変わらずだが今回は「愛」がある?(笑)
湯川教授の探究心、洞察力、推理力は只者ではない。
物理学者にしておくのがもったいない、いやだから物理学者なのか?(^^;
今回の作品を読んでみて、やはり湯川教授の深い思いやりを感じずにはいられない。
誰も傷が深くならないよう振舞っていた。
それでも真実に気付いた湯川教授が行動を起こさずにはいられなかったのは彼の性だろう。
小学5年の少年が夏休みに入って、伯父・伯母が営む旅館へ行く新幹線で出あったのが湯川教授。
彼は少年と同じ旅館に宿泊した。
そんな時、その旅館に宿泊していたもう一人の客が夜に行方不明となり、近くの海岸の岩場で遺体で見つかった。
事故?自殺?それとも・・・
被害者は警視庁捜査一課の元刑事だった。
そこで浮かび上がってきたのが彼が16年前に殺人罪で逮捕した一人の男。
既に刑期を終えていたが、どうやら元刑事は彼の行方を追っていた。
解決していた事件なのになぜ?
そんな謎を湯川教授と草薙刑事、部下の内海薫(女)が解き明かしていく(方程式のごとく?)。
湯川教授と少年の交流も面白い。
身代わり、冤罪、贖罪。。。。16年の時を超えて封印してきた過去が、その真実が、そして再び過ちが起きた。
哀しみと悔恨を背負ってこれからも生きて行くのか、それでいいのか?
誰かを守るために少年を巻き込んだ罪は重い。
ちょいと疑問に思ったけどね。
湯川教授もまた真相を探り当てながら内に秘めて少年とともに重荷を背負うのであった。