僕を殺した女

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眼が覚めたら知らない部屋のリビングで寝ていた。
驚くことに女に変身していて、自分の知っている年代の5年も先の未来にタイムスリップしていた。
この奇想天外な出だしでSFチックな展開になっていくのだろうかと思ったけど、良い方向に外れてました。
主人公は自分のアイデンティティを取り戻すために科学的、医学的な答えを見出そうとするし、記憶を無くした5年間の空白を埋めるべく行動を起こしていく。
自分は男だったはずなのになぜ女になっているのか、心と体がどうやって入れ替わったのか、僕の体と女の心を持ったヤツがどこかに僕として存在しているのか。
果たし僕の体を持った男がいた。
彼は僕として振舞っていた。
そんな感じで物語は進みます。
相手が本物で僕が偽物なのか?幾度となく主人公は思い悩みます。
主人公を取り巻くなぞの人物たち。
見知った人もいたし知らない怪しい人もいた。
自分は結婚していて子供までいるという。
実家の資産を巡る不穏な動き。
行く先々で見つける死体。
自分は多重人格で、別の人格が殺人を犯したのか?
ミステリーとサスペンス。
多くのねじれ込んだ謎が(多少苛つきましたが)解答を求めて読んでしまいます。
謎が分かったとき、そういうこともあり得ない訳じゃないねぇと思いましたけど、結末が意外とあっさりしていたかしら。
記憶喪失は怖いよね。
学生時分に酒で二度ほど記憶なくしたことがありましたけどねぇ。
幸い、女絡みのことはありませんでしたけどね。(^^;