月光の東

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友人とまで仲が良かった訳ではない昔の級友が出張先のカラチで自殺した。
後日、その級友が訪ねてきて塔屋米花という女を知らないかと問われる。
級友は米花と会って、その後で自殺したのだと。
米花、それは彼の中学時代の初恋の相手。
「月光の東まで追いかけて」という謎の言葉を残して引っ越して行き、今はまったく消息不明な女。
級友の妻が日記を通して語りかける米花の実像と、米花の足取りをたどって分かった彼女の実像。
男を虜にした美貌を武器に底辺から這い上がった女の強かさ、哀しさが、でも本当の米花とはどう言った人間なのか、魔性の女とは違う人間の性が、業が明かされてく。
「月光の東」、それは夢の国だったのか、黄泉の国だったのか。
ミステリー小説ではないけど、そんな感じもする長編小説でした。