天魔ゆく空

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「覇王の番人」に次ぐ時代小説です。
時代は応仁の乱前後の室町時代
細川政元とその姉である洞勝院の生涯を著者の独自調査の基づき、今までの概念を覆す作品という触れ込み。
ま、もともと知らない人々ですから何の先入観無しに楽しめましたけどね。
血筋、家柄、一族のしがらみ、その一方で身内からの妬み、やっかみ、私利私欲、権力欲が絡み、この戦国時代の下克上の有様が時空を超えて読む者に顕になっていく。
幼き頃から聡明で先読みが利く子であった。
8歳で細川の家督を継ぎ、やがて足利将軍の首を取っかえひっかえするほどの権力を持つに至り「半将軍」と言われた。
家督争いを嫌って独身を貫き養子をとるのだが、皮肉にも自身の家督争いに巻き込まれ41歳の生涯を閉じることとなる。
時勢はどのように動くのか面白いものである。
主人公目線ではなく、距離を置いて俯瞰する第三者の目線で描かれている。
希代の変人と称された政元の奇行ぶりの裏には知略を伴った「必然」があったとみなした著者の目の付け所に感謝。
いい作品でした。