紫蘭の花嫁

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あぁ、やられました。
心地良い混乱と言いましょうか。
見事に著者の術中にはまった感が強いけど、嫌な感じはしない。
シティ・ホテルで注射痕を残した全裸の女性死体が発見される。
死因は心不全で、毒物、薬物反応無し。
そういうのが連続して発生。
捜査班のエリート刑事部長は解剖医の協力を得るが犯人逮捕に至らない。
これと並行して花好きの女性がある男から逃亡している。
男の影がちらつくと職場を変え、引越しもするという周到さ。
それでも追って来る。
で、エリート刑事部長の行きつけのバーに女性が押し売り気味に雇ってくれと頼み込む。
その女と刑事部長は次第に意気投合するのだが。
一見何のつながりのないそれぞれの話が、じわぁ〜っと結び付き、そしてクライマックスへ。
刑事部長の人に言えない過去(ハエを潰したら腹の中からウジが湧いて出た件は経験有りなのでゾクゾクぅ〜と(^^;)、花好き女の暗い過去と復讐への執念。
人間描写、心に巣食う闇、心情の揺れ動きが見事でした。
連続殺人犯と刑事部長の独白、花好き女とバーの押しかけ女、追う男と解剖医、この辺りに混乱の原因が。
「花嫁」にどう繋がるのか、最後の最後にわかるんですけど、ドン臭いもん同士でいい夫婦になることでしょう。