飛水

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山、川、森と雨、飛騨の古い町並みが水墨画のように描写されている。
妻子持ちの男と人妻との不倫。
ドロドロしたところがない上品で色艶のある恋愛小説。
でも何か雰囲気が違う。
男は死んでる?
死者との逢瀬なのだろうか。
読み進めると、やはり男とその家族はバス事故で亡くなっているようだ。
一緒になる夢は破れたが、40年もの時を経て成就。
一途な想いを秘めて、生き続けることで悲しい運命に対する復讐を果たす。
そして・・・女は自分の死を、死化粧を受ける様を男と二人して眺めるという不思議な情景が心に残った。
私、恋愛小説嫌いじゃないかも。(^^ゞ