プラチナデータ

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東野圭吾氏の最新作です。
怖い世界が描かれています。
総国民DNA登録を推し進めて、犯罪者を最新のDNA捜査システムで割り出すというもの。
そのシステムを使うと身体的特徴や性格、かかりやすい病気、似顔絵まで分かってしまう。
ピッタリ一致しなくても三親等以内に犯人がいることまで突き止められる等。
それでもデータサンプルが全部集まってないので「NOT FOUND」となってしまうものもある。
その中に明らかにDNAデータがないから怖くないとばかりにDNAをそこここに残していく犯人がいた。
「NF13」と呼ばれる犯罪者がそれで連続婦女暴行殺人を犯していた。
で、そのNF13が殺人に使用していた拳銃と同一の拳銃により、DNA捜査システムを開発した天才数学者の兄妹が殺された。
で、犯人の遺留物の髪の毛のDNA検査したところ、思わぬ人物が・・・DNAの主任解析員の神楽。
嫌疑はもちろん彼にかかってくるのだが、捜査の手が伸びる前に逃亡を企てる。
彼は二重人格者だった。
もう一人のオレが殺ったのか?
真犯人は誰なのか?
DNA捜査システムに謎のオプション??
プラチナデータ」って何だ???
全ての謎がとけたときの無力感。
闇に葬られる新事実。
権力者はいつだって治外法権
実際にこんなシステムが稼動すればそういうことになるんだろうと思うと腹立たしい。
それとは別に二重人格者の彼が真の心を取り戻す物語という別の側面が描かれてます(こういうの東野氏はうまいなぁ。
DNAというデジタルなデータにしか関心を持たなかった彼は、もう一人の「彼」がキャンバスに自殺した父の手を描くことで「心」が大切なのだと訴えていることに気付かされる。
それを悟った彼がもう一人の「彼」に変わることはないだろう。
で、彼はろくろを回すのだった。