終末のフール

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あと8年後に地球に小惑星が衝突すという衝撃的な発表から数年後の仙台北部の「ヒルズタウン」を舞台とした人間模様を描いた作品。
一時の混乱からやや落ち着いた状況のよう。
それでも地球最後の日まであと3年を切った状況には変わりなく、そのなかで家族愛、新しい命、復讐、役作り、等々それぞれがそれなりの方法で思い思いに余命を過ごす。
アメリカの映画にあるような悲惨な光景はまだ見られず、なんとなく牧歌的にさえ見えてしまう。
もっと間近に迫ればまた別な状況になるんだろうけど。
肩肘張らずに「生きることの意味」が登場人物らによってサラっと語られているところがいいね。
短編仕立ての構成だが横の繋がりもある。
各章が「・・・・の・・・ール」といった韻を踏んでいるところに著者の遊び心が覗く、いい作品でした。