新参者

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「う〜ん」と唸らざるを得ない。
流石と言うべきか。
加賀恭一郎ここにあり。
東野氏の小説に出てくる刑事としては一番有名。
ガリレオこと湯川との迷コンビぶりを発揮する草薙刑事とは別格。
数々の東野ミステリーには欠かせないキャラクター。
それがこの作品で一際輝いてみせる。
こんな人情味あふれる鋭くて暖かい飄々とした刑事がわんさかいたら日本の治安もずっと良くなるだろうに。(笑)
一章一章が独立した短編のようで最後にすべての謎が解ける構造がいいね。
左遷のような形で赴任した加賀は、ある殺人事件を追う。
地道に、マメに、ねっとりと、爽やかな笑顔と手土産を持って、所轄の街をくまなく探る。
単に犯人の手掛かりを探るだけでなく、捜索の過程で出あった人たちの疑いを晴らすことや悩み、揉め事までもさりげなく解決へと導く。
その思考、洞察力、手腕が抜きん出ていて溜息が出る。
こんなヤツいないよな、絶対に。
この作品の中で感動した加賀の語りを一節。
『その真相から学ぶべきことはたくさんあるはずです。』
殺人という残忍極まりない事件は犯人逮捕で終わりとするのではなく、その裏の原因を徹底的に追究して同じ過ちを繰り返さないよう教訓としないでどうする、といった加賀の境地が垣間見えるこのフレーズが胸に響きました。
東京の下町情緒の残る赴任先で自身が『新参者』と語りながらもすっかり町に溶け込んでしまっている加賀をベテラン刑事は舌を巻くのみであった。

さて、この『新参者』は「このミステリーがすごい!2010」、「週刊文春ミステリー」で1位を獲得した素晴らしい作品であるが、このたびTBSより日曜劇場枠で4月より放送されることとなったのは記憶に新しい。
詳しくは TBS「日曜劇場『新参者』」 を参照されたし。
加賀役には阿部寛が抜擢された。
こりゃぁ、録画して見なきゃ。
阿部ちゃんは、私が学生時分にお世話になったメンズ・ノンノの専属モデル時代から知っている人ですね。 >何を今さら・・・(^^ゞ

悪かったな、オレにもそういう時代があったのだよ。