むかし僕が死んだ家

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この本は題名に騙されてはいけない。
額面どおりに受け取った私は、まったくとんちんかんな推理を立てて轟沈した・・・・
ま、確かにみな小さい頃の忘れてしまいたい過去を捨て去って、見ぬフリをして、封印してきたのかもしれない。
いろいろなことを。
そういう幼少の過去の記憶を無くした女の記憶を取り戻すために元カレが奮闘するお話。
彼女の父が残した地図と鍵。
その地図の場所に忘れた過去があるかもしれないと既婚で夫は海外赴任中で子供は義母に預けている女が昔の男に協力を求める。
なんと筋違いな。(^^;
とある山の中にたたずむ白い小さい家。
表玄関が固定されていて使い物にならない家。
ついさっきまで人がいて忽然と消えていなくなってしまったような、それでいて生活感のない奇妙な家。
何もかも謎めいたが、一つずつ謎を解明して真実が分かるたびにまた混乱してしまう。
やがて彼女はすべての記憶を、おぞましい過去を取り戻す。
死んだのは誰?
肉体の死は確かに、でも精神的な死は??
相変わらず伏線たっぷりの一筋縄ではいかない推理が東野氏の真骨頂なのだ。
すっかりやられた・・・・