『楽園 上・下』、『年に一度、の二人』

182,183,184

共通項は、香港にある「ハッピーバレー競馬場」と「10月の第3水曜日」。
2つの物語が最後に結びつく。
1つ目は不倫の待ち合わせ場所として、2つ目は結婚相手にしてもいい男を振り切って好意を抱く青年との待ち合わせ場所として。
いずれも主人公は女性で、方や既婚で方や独身。
なぜか年に一度しか会わない不思議な関係。
1つ目の不倫してる女の高校生になる息子が最後に女(実母)と一緒に不倫相手と会う。
そこで2つ目の女と男と出会う。
冷静で冷めた息子がラストを飾る、なんとも奇妙で可笑しい男と女の関係でした。(^^ゞ


これって、「模倣犯」の作品に出てくる女性連続誘拐監禁殺人事件から9年後という設定なんですね。
ピースこと網川のその後もちらっと出てきます。
主人公は「模倣犯」に出てたフリーライターの前畑滋子。
彼女はひょんなことから中年女に事故死した息子の特殊能力の謎を解いて欲しいと依頼を受ける。
亡くなった少年が描いていた絵の中に肌の色が灰色の少女が家の中で横たわっているものがあった。
それは最近火事で焼けた家で、焼け跡から死蝋化した少女の遺体が発見された。
でも火事は少年が亡くなってから起きたもので、どうして彼がその家に少女の遺体が隠されていることを知ったのか。
そればかりではない、9年前の女性連続誘拐監禁殺人事件の舞台となった山荘の絵があった。
そこには現場に関わった少数の人物しか知りえないある物体が描かれていた。
その時、少年は幼児である。
そんなものは知り得るはずがない。
本当に少年にはそういう力があったのだろうか?
持ち前のライターとしての血が騒ぐ。
紆余曲折して前畑滋子はやがて真相を突き止める。
そこには9年前のあの事件から立ち直った前畑滋子がいた。
模倣犯」に匹敵する長い長い作品でした。