重力ピエロ

94

映画になってますね。(オフィシャルサイト:http://jyuryoku-p.com/
作品の背景は、かなり重いです。
それでも題名通り『重力ピエロ』、道化師が空中ブランコで飛び出し、失敗を演じてそのまま落下する時に一瞬無重力状態になる、そんな風に軽くさばいている感じがします。
物語は兄弟がバットで傲慢ちきな女子が男子に襲われるところを救うシーンで始まる。
弟が2Fから軽々と飛び降りるところが題名の『重力ピエロ』を連想させるシーンだ。
それから数年の月日が経ってそれぞれ成人し、兄は遺伝子を扱う会社に就職、弟は正職に就かず "落書き消し" で生計を立ていた。
あるとき弟が落書き(缶スプレーで描く グラフィティアート )と最近の連続放火がリンクしていると言い、兄にその犯人を捕らえようと誘う。
しかし、その裏には弟の密かな復讐が絡んでいた。
兄と癌で入院している父と、弟をストーカーする謎の美女も交えて、この事件に関わっていくうちに落書きと連続放火の犯人が誰なのかを悟る。
兄弟の家族には秘密があった。
兄と弟とは半分しか血が繋がっていない。
弟は兄の父との繋がりはない。
なぜなら母が強姦魔に襲われて出来た子だから・・・・
それにもかかわらず揺ぎ無い家族愛がこのご時世に深い印象を与えている。
名前を変えて相変わらず鬼畜のごとく暮らしていた実父の存在を知った弟は果たして。。。。
最後まで血の繋がらない子を実子として貫き通した父、それに前向き応えながらも自分の生い立ちの現実に憤る弟。
この世に生を受けて生まれてきた弟の葛藤、そのからくりが肯定しがたい悪魔の所業であったのだが、その悪魔の所業がなされなければ自分は生まれてこなかったことを認識する。
相反することを自らの力で決着させた弟、但し法治国家では許されない手段ではあったのだが。
なぜかラストシーンは溜飲が降りた感じがした。