世界から猫が消えたなら

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読了。

いや、こりゃ予想外に面白かったわ。
30歳の郵便配達員の男が末期癌(脳腫瘍)で余命いくばくかの宣告を受ける。
そして目の前に現れた自分そっくりの、性格も服装も自分とは真逆の悪魔と取引をする。
世界からある物を消滅させる代わりに1日寿命を延ばしてもらうという契約を。
チョコレート、電話、映画、時計、1日1つずつこの世から消して自分は1日を生きながらえる。
そして悪魔はとうとう自分が飼っている愛猫のキャベツを含む猫を消すことを提案する。
このとき彼は悟のだ。
世の中に消えていいものなんかない、世の中の素晴らしさ、生きていくことの意味、自分の存在理由等々。
そして彼は運命をあるがまま受け入れて悪魔との契約を終了する。
会いたかったくせに会わずにいた父の元へ自転車に乗って行く途中の丘から下るところで物語は終わった。
うーん、エンタメであり、人生書であり、究極の哲学書なのかもしれない。
良い本でした。