静かな雨

7

読了。

結構短くて薄い単行本。
でも満ち足りた読後感。
著者の原点となる作品だ。

小川洋子著の「博士の愛した数式」を思い出した。
作中にもそれに触れている記述がある。

パチンコ屋の駐車場内で鯛焼きを焼く女性と彼女に好意を持った青年のお話。
ある日、彼女は交通事故のとばっちりを喰らって脳に障害を負ってしまう。
事故までの記憶は保持されていたが、事故後に遭ってからのの記憶は一日しか保持できない。
翌日目がさめると前日の記憶がリセットされてしまうのだった。
そんな彼女を助け、時には勝手な言いがかりをつけて怒ったり、反省してより一層愛おしくなってしまう青年の心の揺らぎの描写がいい。
彼女のあっけらかんと、そして芯の強さ(喧嘩も強いらしい)にも惹かれる。
私も惹かれた。(^^;
二人がこのままうまくいけば良いとは思うが、それはまた別の話だろう。
これがデビュー作とは恐れ入りました。
心に残る作品でした。