壁の男

112

読了。

淡色や中間色のない原色で描かれた稚拙な絵。
それが民家の壁や塀を埋め尽くし、いや塗り潰されていた。
そんな集落にノンフィクションライターが乗り込み、描き手を取材する形を取っている。
果たしてその描き手の男はどのような人間なのか、彼はなぜ絵を描き続けたのか?
1つ1つ明らかになって行く男の孤独な半生と辛い出来事が、隠された真実が読む者の胸に突き刺さる。
彼の身に置き換えてみたら。。。。無理だ、生きていけない。
ラストの真実に呆然としたわ。
なるほど、彼の嫁があっさりと愛娘を置いて出て行った理由の一つなのかな?

いろんなものを乗り越えて、一度は捨てた故郷に戻り、時間は掛かったけど受け入れてもらい、そこそこ充実した日々を送っているようなので少しホッとしたけどね。