贖い

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読了。

1ページ上下二段組の構成で、文書量が多いが、上下巻と二冊になるよりははるかに良心的で、中身が濃くて飽きさせない良い作品でした。

東京、埼玉、愛知と場所が異なっている。
連続してるが別々の日に起こっている。
対象者層も殺害手法も異なっている。
これらの、一見何の関連性もなさそうな事件をそれぞれの管轄の「はみ出し刑事」らが追う。
バラバラだった点が一つに合わさった時、浮かび上がった容疑者は・・・・・善良なる社会人の仮面を被っていた。
早々に犯人は読者に分かるのだが、状況証拠とまでもいかない憶測の域を出ない状態からどうやって犯人を落とすのかの過程が読みどころ。
丹念にネチっこく捜査に当たる元交渉人の星野警部の執念が尋常ではない。
犯人の一連の殺害の裏に潜む闇は、ある一つの共通点が見出された時に明らかになる。
「贖い」とは、こんな形でしか成し得なかったのだろうか、と思うと「それは違うだろう」と皆は思うだろうが、当事者だったらと思うと複雑な思いも。

いろんな面で考えさせられる作品でした。

星野自身の「贖い」でもあったんだなぁっと。(^^ゞ