カクメイ

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「カクメイ」、なんともギョッとさせられる言葉だ。
まだ漢字の「革命」の方が軽い。
本当は逆ではないかと思うが、政治思想のないカタカナの「カクメイ」は、捉えどころのない不気味さを漂わせている。

高校2年の夏に交通遺児奨学会の集いで出会った同い年の男二人(津田修介と檜山暁夫)と女一人(福本希美子)。
その後の行く末を決定付た運命の出会い。
それから「カクメイ」を成し遂げるまでの過程が何ともいえない気分にさせられるお話でした。

あらゆるものを「笑い」にする風潮が許せない。
差別も、弱者も、貧困も、人の死までもネタにするTV番組を提供する放送局、及びそれらを視聴する国民らが標的。
世の中から笑いを無くすことを目的とした「カクメイ」。
手段は、常に視聴率が20%を超える人気を誇るお笑いバラエティー番組の視聴率が12%を越えたら人を殺すというもの。
きっかけは、福本希美の自殺。
純粋な復讐とは異なり、自分の生い立ちや今の境遇に対する鬱屈の捌け口としてというのもあるのだろう。
公安や、公安が擁するスパイの暗躍も、いい味付けになっている。

いい作品でした。