オイアウエ漂流記

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オイアウエ、トンガの言葉で喜怒哀楽すべてを表すことができるという。
この作品は、10人と1匹の漂流記だ。
トンガにゴルフ場を作るために視察に来たリゾート開発会社の部長(男)、課長(男)、主任(女)、平社員(男)と、その得意先の若(馬鹿)副社長(男)、仲が怪しい新婚夫婦の男女、戦友の慰霊に来た爺いとその孫(男)、そして環境テロリストの外人(男)とセントバーナード犬。
ラウラに行くおんぼろプロペラ機が遭難して海に不時着。
機長は飛行機が沈む時の渦に巻き込まれて多分死んだ。
残った10人と1匹が乗った救命ボートが辿り着いた先は、後で分かったことだが小さな無人島。
そこで繰り広げられるサバイバルなお話なのだが、悲しいサラリーマンの性から抜けきれない社員らが笑を誘う。
部長のパワハラに、腰巾着の課長、呑気で馬鹿丸出しの御曹司、冷酷無慈悲の主任とパシリの平社員らの掛け合いが滑稽なのだ。
相方に愛想をつかし、成田離婚も考えてる新婚夫婦のすれ違い具合も笑える。
そしてボケ気味で戦時中に意識が戻ってしまった爺いの行動もあってか、なんか遭難している悲壮感がないんだけど、文明の利器に頼っていられなくなるにつれ、サバイバル感が増していく。
そうこなくてはね、っといよいよ佳境に入って「どうなんの?助かるの?」って思ったらば・・・唐突に終わってしまった。
いや、助かったんだよ、確かに。
けどね、その過程がね、省かれてんですよ。
助かった人たちのその後も気になるぢゃないですか!
部長と課長はどうなるのか、左遷させられるのか?とか、取引先とうまく行くのか?とか、主任と平社員との仲は?とか、新婚夫婦は離婚したのか?よか、誰の子なんだ?とか、外人は逮捕されたのか?とか、とか、とか。。。。
全部なし!!!
ある意味驚愕のエンディングだ。
なんなんだ、いったい!!o(`ω´ )o