旅猫リポート

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三毛になり損ねた鍵尾の雄猫のナナと飼い主のサトルとの心通わす物語。
お互いに最高のパートナーでしたね。
ナナがリポートする銀色のワゴン車でのお見合い旅行。
飼い主との出会いから始まり、サトルの家猫として飼われるも野良の矜恃を忘れないナナが微笑ましい。
5年後、なんかのっぴきならない理由でナナの貰い手を探す旅に出る。
旅先は、小学校の、中学校の、高校の、それぞれ過去に親しかった友人たち。
彼らにナナを引き取ってもらえないかと持ちかける。
ことごとく失敗するのだが、ナナはサトルと別れたくないからワザと貰われないように振舞う。
サトルはサトルで案外その結果を喜んんでたりする。
う〜ん、いじらしい。(笑)
でも、読み進めていくうちに「そいつからはもう助からないにおいがする」と訪問先の飼い犬に言われたり、「あの飼い主からはもう長くないにおいがしているじゃねえか」とフェリーで乗り合わせた飼い猫に言われる。
えっ? サトルって死ぬんですか??(驚)
あららぁ・・・思わぬ展開だわ。
結局貰い手がなく、最終地の北海道の叔母さんちへ。

30にして末期癌だった。
あちこち転移していて余命1年。(絶句)
最期までナナは良きパートナーでしたよ。
自分の意思で看取ったのだから。
年甲斐もなく泣けたね。
サトルの出生の秘密が明らかにされて、より一層哀しい。
健気で気丈に振舞う大人びた子供だったんだね。

やがてナナも年老いて、もう少しでサトルのもとへというところでリポートは終わる。



そういやぁ「黒にゃーにゃ」と呼んでいた人懐っこい野良がいたのだが、今年は一度も会えなかったなぁ。
生きてるのかなぁ・・・